こんにちは。
はじめに。。印西市の魅力ある場所には、たくさん人が訪れてほしい場所だけではなく、静かな環境の中にたたずむその景色や建物こそが魅力である場合も多いです。
多くの人が訪れることでその魅力が損なわれてしまうこともあります。
しかし、誰も訪れなくなり人知れずただすたれてしまうものもあります。
そのバランスが難しいですよね。
今回の散歩はすでに多くの人たちに知られている場所。
千葉ニュータウン高花地区に隣接する結縁寺 (けちえんじ)。
結縁寺というと真っ先に朱い門のお寺 (結縁寺)を思い浮かべるのですが、実は結縁寺という名前は江戸時代の村の名前にもなっていたのです。
「結縁寺村」が明治時代には周辺村と合併し「船穂村結縁寺」になります。
記事公開日:2019年6月13日
記事更新日:2021年9月21日
写真は2016年~2021年を使用しています。
もくじ
にほんの里100選に選ばれた里山
このエリアは公益財団法人森林文化協会と朝日新聞社による「にほんの里100選」に選ばれています。
なんでここ?と思う方はぜひ千葉ニュータウン中央から歩いて散歩してみてください。
高台に整然と区画された住宅街を境に、坂を下り風景は突然姿を変え、深い森林に囲まれるように田畑が出現します。
人と自然が共存する里山の風景です。
でもさ、こんな感じののどかな風景は千葉県だけじゃなくて日本全国どこにでもない?
と思う方もいるかと思います。
選出理由は「首都圏近郊に残る谷津」
個人的にポイントは「谷津」かなぁと思っているのですが。
都内から電車で30分~40分ほどの距離で下総台地に入り組むように、結縁寺対象地域は約76ヘクタール (東京ディズニーランド+シーの半分を合わせたくらい) の谷津がひろがります。
田んぼや畦 (あぜ)、高台から急斜面を林が囲み、池などの水辺環境もたくさん。
まさに鎮守の森ですね。
ちなみに千葉県ではこの結縁寺と南房総市の平久里下 (へぐりしも)、近隣では東京都の町田市や所沢市が選ばれています。
この結縁寺だけでなく、印西市にはこのような谷津里山がいくつもあるんですよ。
開発の波はどんどん広がっていきますが、深い自然の田舎風景はいつまでも残っていてほしいですね。
ぜひ自分だけのお気に入りの里山の風景を見つけてみてくださいね!
結縁寺
結縁寺といえば印西市民にはこのお寺が有名。
国指定文化財「銅造不動明王立像 (どうぞうふどうみょうおうりゅうぞう)」が保存されているお寺です。
寺名は「晴天山西光院結縁寺」と呼ばれます。
「う~ん、漢字ばかりでなんだか難しくてわからない。この記事はパスだ。」
日本史の用語って分解するとわかりやすいですよね。
|銅造|不動明王|立像|という感じに。
銅で造られた不動明王の立ってる像か。う~ん、やっぱりパス。
この辺に住んでいる人なら不動明王と聞いて何か思い浮かびませんか?
成田山のお不動さま。私だけかな?
大きさはなんと…約47cm。
いろいろ想像したあとに見るこのサイズは、え?…ほぉ‥と思うかもしれませんが、その意外なほどのサイズ感とは裏腹に見た目はとっても怖いのです。
不動明王って何?
みなさんが想像する仏像って、たいてい優しい顔や姿をしたものが多くないですか?
不動明王は悪を絶ち、仏道に導くことで救済する役目を担っているから恐ろしい表情をしているようです。
ずっとこの地域を守ってくださったのですね。
奈良時代 (724年)に行基 (ぎょうき)によって開山されたといわれる結縁寺にあるこの像が火災にも負けずに残ったことで非常に貴重とされています。
へぇ‥。
行基 (ぎょうき)って誰?
で、ところで行基ってそんなにすごいの?という方。
「行基は東大寺の大仏をつくった人です。」とだけ紹介すればすごさがわかるでしょう。
そんな行基が結縁寺にお寺を建立したことにはどんな縁があったのでしょうか。
同じ景色を見て散歩しながら想像してみるのも違った楽しみ方かもしれませんよね。
結縁寺の境内はとてもきれいにされていて画になります。
じゃあ銅像造不動明王立像を見てみよう!と探してみても、実は保管されていて通常は見ることができません。
時代により異なるかと思いますが、現在は1年に1回だけ見ることができる日があります。
銅造不動明王立像の開帳日
銅造不動明王立像は普段は見ることができませんので開帳日に訪れてみてくださいね。
開帳日 :毎年9月28日
開帳時間:13:00~
突然変更があると申し訳ないので、一応印西市のサイトなどもチェックしてみてください。
所在地:千葉県印西市結縁寺516
行き方:
■徒歩の場合:千葉ニュータウン中央駅南口から徒歩約40分
■バスの場合:北総線千葉ニュータウン中央駅からバス高花行き「高花団地入口」下車徒歩約8分
ふれあいバス:南ルートか中ルート「高花団地入口」
■車の場合:付近に十数台分の駐車場、お寺の境内隣に3台分の駐車場があります。
熊野神社
お隣にはそれこそ凛とした林に囲まれた熊野神社もあります。
結縁寺とはまた違った趣がありますので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
結縁寺エリアの見どころ「印西八景」
結縁寺のお寺の周辺は草木や花が咲き誇ることで有名です。
ご開帳日もあるし、これはもう秋ですね!
ただ、お寺周辺の花の見ごろ (名所?) が秋なのであって、結縁寺エリアは新緑もあじさいもチューリップも周辺の家屋の庭にも花が咲いていて、それはもういつ行っても趣きがあります。
個人的にはここに限らず里山の風景は初夏から秋にかけてがおすすめです。
上の写真は結縁寺のため池。
ため池はこの地に住む人々との生活と共にあります。
池の中には鯉がたくさん。
結縁寺のスイレン・蓮(ハス)
初夏~夏にはスイレンや蓮の花が咲きます。
結縁寺の彼岸花
結縁寺といえばお彼岸から1週間くらいの間にお寺の周辺に咲く「彼岸花の風景」がすっかりお馴染みとなっています。
満開時はこのような感じ。
彼岸花スポットのような広大な敷地に咲き誇る姿ではなく、お寺につなぐ道しるべのような雰囲気です。
結縁寺とコスモスの花
9月末には銅造不動明王立像の開帳日のころには付近のコスモス畑など、いつ来ても風景を楽しめるようになっています。
→ 結縁寺の風景は、印西市を中心に情報発信している「もぐパラ」さんが四季折々の姿を写真で紹介しています。ぜひご覧ください。
(もぐパラさんの結縁寺特集ページ|外部リンク)
結縁寺の行き方と境内
では結縁寺に行ってみましょう。
ここは細い路地を通った先にありますのでちょっとわかりづらいんですよね。
県道4号千葉竜ケ崎線から高花へ入った途中の路地から歩いて5分ほど。
入り口は2か所あります。
どちらでもOK。
駐車場
え?歩いてしか行けないの?
いえいえ大丈夫です。この路地の奥に駐車場もあります。
ただし限りがありますので混みそうだなと思う日はなるべくバスなどを利用しましょう。
里山への道
こんな景色の路地を下って行きます。
ため池と蓮池
突き当れば正面にため池、右手に結縁寺が見えます。
お寺の前は蓮池があり、夏には蓮の花が咲きます。
5月頃はおたまじゃくしがたくさん泳いでいて、小さい子どもが興味津々。
境内
さぁ、お寺の中に入ってみましょう!
きれいなタオルがかかっているところも、里山保存会による現代のおもてなしが心に伝わりますね。
手作りの木のベンチがたくさん。散歩の休憩にもすっと心が静まります。なんと境内にはトイレもあります。
このゆっくりとした静寂の風景がいつまでも続くといいなぁ。
というより今はこの静寂の中ぼーっとしていたい。
冒頭でも書きましたように、名が知られるほど人で賑わい、街は良い意味でも悪い意味でも変わっていきます。人が手を加えればこの姿は2度と戻ることはありません。
ゴミや私有地への侵入などさまざまな問題も発生します。
どうかこの美しい印西の里山を市民のみなさんで見守っていきましょう。
勝手で他人事なまとめ方で申し訳ないのですが、そんなことを考えさせられた日でした。