街づくり

印西市「新クリーンセンター」の建設とミュージアムパーク構想|2023年1月時点

印西クリーンセンターの移設とその隣接地におけるミュージアムパーク構想の紹介です。

「え?なにそれ初耳!」
「クリーンセンターの話は聞いたことあるけど、ミュージアムパーク?なにそれ。」
「ミュージアムパークってどんなのができるの?」
「なんでそれをあそこに作るの?」

いろんな声が聞こえてきそうですが、今はこんな話が進んでいるよ、程度で見ていただければ助かります。

情報は2023年8月時点です。
内容はわかりやすく紹介することを目的としています。
専門知識豊富な方や関わっている方々から見たら、どうなんだという部分もあるかと思いますが、新しく引っ越した方も多い印西市民。
「知らない」を「興味を持ってもらう」ことで、より良い市をみんなで作っていけるという狙いです。

クリーンセンターとは

印西クリーンセンター

クリーンセンターは、地域で出たごみを処理する施設です。

印西クリーンセンターの場合、印西市・白井市・栄町 (当初は印西町・白井町・栄町・印旛村・本埜村) も同じクリーンセンターを共用しています。

印西市が単独でクリーンセンターを持っているのではなく、白井市・栄町・印西市が共同でごみ処理などを行おうという組織=印西地区環境整備事業組合が運営しています。
市民から見たらパブリックには変わりはありませんけれど。

「今日は燃えるごみの日だ~街中綺麗にするぜと心がもえるぜ!オー!」
by 絵本ごみ収集車パッカーズ

なぜ新クリーンセンター建設をするの?

簡単に言えば「老朽化」です。

印西クリーンセンターの設立は1986年 (昭和61年)。

かつては千葉ニュータウン中央駅前も殺風景で、北口ロータリーもイオンも無い時代。
当時はなぜかテニスコートが複数あり、1992年 (平成4年) 頃は私もそこでテニスをしたことがあります。
国道464号線も片側しか開通しておらず、印西牧の原周辺は道路もつくられていなかった時代です。

それから思えば時は経て、というよりはほんの20年~30年で街全体が激変しました。

「時代に合わせた処理施設としてこれから先何十年もやっていくならば新しく建てよう」
という方針に至りました。

これが、次期中間処理施設「ごみ焼却施設及びリサイクルセンター施設」
いわゆる新クリーンセンターです。

建設予定地

千葉県印西市吉田

吉田といえば「そうふけっぱらのきつねの民話」の菓子屋のおっちゃんが住んでいた場所です。

印西牧の原から南に向かい、松崎工業団地の里山を越えた八千代方面。
泉カントリークラブのとなりです。
Googleマップで見るとソーラーパネルがたくさんあるあたりになります。

 

新クリーンセンターの概要と現クリーンセンターとの比較

 

事業名

(仮称) 印西クリーンセンター次期中間処理施設整備事業

印西クリーンセンター建設基本計画

場所

(予定)印西市吉田地先 (松崎地区)

千葉県印西市大塚1-1-1

敷地面積

(予定)約26,000㎡

約24,968㎡

稼働開始年度

(予定)2028年度 (令和10年度)

1986年度 (昭和61年度)

事業方式

DBO(Design-Build-Operate)方式

処理方式

ストーカ式焼却炉

処理能力

約156t/日

焼却施設
300t/日
(100t/日×3基)
粗大ごみ処理施設
50t/5時間 (1基)

クリーンセンターを移設するにあたり、地域へ何か還元するという意味も含め、周辺地に地元の人たちが憩える場所を提供する施設を作る方向で進みました。

それが「地域まるごとミュージアム構想」です。
便宜上いんざいパルケでは「ミュージアムパーク構想」と書きます。

この構想となる対象地は、吉田地区にある谷津里山の台地部分のかたまりをほぼすべて使う壮大なプロジェクトです。

 

地域まるごとミュージアム構想

新クリーンセンターの周りに、市民に開かれたアミューズメントパークのようなものも作られる構想があります。

これを読んでいる方はどちらかといえばこちらの方が興味あるのではないでしょうか。

全国の市町村には実際は「市の直営」でなくても、「より公的」に市民向けに開かれた自治体主導の施設がある市町村も多いですね。
乱暴に言えば「ハコモノ」ですね。

千葉市はすごい。よくこんなにお金があるなと思うくらい揃っています。

主に自治体が先導する施設
市川市:市川市動物園
船橋市:ふなばしアンデルセン公園・ふなばし三番瀬海浜公園
千葉市:千葉市動物公園・千葉市昭和の森・千葉市花の博物館・千葉市科学館・千葉市美術館・千葉城 (千葉市郷土博物館)・千葉ポートタワー・千葉マリンスタジアムなど
佐倉市:佐倉草ぶえの丘・佐倉ふるさと広場
柏市 :あけぼの山農業公園・手賀の丘公園
山武市:蓮沼海浜公園
習志野市:谷津バラ園・谷津干潟
江戸川区:江戸川区自然動物園
足立区 :足立区生物園
牛久市 :自然観察の森・木育広場
など
県営・国営・民営でもより公的(地域に開かれた)施設と言えば
栄町 :房総のむら
佐倉市:歴博
我孫子市:鳥の博物館
松戸市 :ユーカリ交通公園・21世紀の森と広場
芝山町:航空科学博物館・柴山古墳・はにわ博物館
野田市:清水公園・もりのゆうえんち
柏市 :日立サッカースタジアム・柏の葉公園
千葉市:幕張メッセなど
八千代市:京成バラ園
江戸川区:地下鉄博物館

小さな自治体にも似たような施設があります
羽村市:羽村動物園
羽生市:羽生水郷公園・さいたま水族館
狭山市:智光山こども動物園
檜原村:森のおもちゃ美術館
など

印西市新クリーンセンター隣接の施設はどんな施設ができるの?

印西地域まるごとミュージアム構想参考:印西地区環境整備事業組合資料

現時点 (2023年1月) の案を見たところ、ざっくり言えば、
「草ぶえの丘」
+「手賀の丘公園・あけぼの山農業公園」
+「清水公園の縮小版」
+「温泉スパ施設」
+「阿蘇ファームヴィレッジ」
のちょこっと取りした感じの施設に進んでいるようです。
(あくまで個人的な見方)

どこにできるの?

新クリーンセンター周辺のアクセス参考:印西地区環境整備事業組合資料

千葉県印西市吉田地区

クリーンセンター建設地の周辺を利用します。

規模

印西地域まるごとミュージアム構想参考:印西地区環境整備事業組合資料

155,000㎡+α (拡大構想あり)
※数字を間違えたので2023年8月22日修正しました。

敷地面積は大きく見て16万平米。

以前、数字の1が抜けてしまい、55000平米と書いてしまいました。
ご指摘を受け修正しました。助かります。ありがとうございます。

ジョイフル本田程の規模です。
アスレチックソーンは民間の誘致として別途想定しているようですので、計画通りに進めば実際はこれよりも広くなります。

ムーミンバレーパークに隣接するメッツァビレッジと同規模です。

地域まるごとミュージアム構想の目指すもの

「暮らしやすく持続できる快適なまち」
「訪れたい魅力あるまち」
「次世代に残したい里地里山」
を目指した複合パーク構想とのことです。

日本全国どこにでも今すぐ使えるぼやっとした抽象的な構想ですが、あれもこれもを具体化して集客するのは難しいものです。

そこで現時点で市民から集まった意見などをまとめた案がこちら。

矢印

構想案の一例

印西地域まるごとミュージアム構想参考:印西地区環境整備事業組合資料

2023年1月時点の案の例をまとめて記載したものです。
選ばれた内容の狙いなどはこの記事の趣旨と異なるため割愛します。

屋内ゾーン

排熱エネルギーを活用した天然温泉施設
農産物直売所
芸術ギャラリー(芸術家・芸術活動を行っている市民の作品(絵画・写真・手芸・工芸・俳句・盆栽等)を展示・販売
キッズルーム (大人も楽しめるボルダリングやトランポリンなどを含む 本格的な屋内アスレチック機能)
屋内遊戯場
多目的研修室
キッチンスタジオ
図書室
風土記の部屋
レンタルオフィス
レストラン3店舗・カフェなど
エステ店舗
テラス

滞在ゾーン

ファミリールーム
ドームハウス数十棟

農園ゾーン

野菜もぎとり農園
いちご農園
南国フルーツ農園 (排熱利用?)
ハーブ園

広場

バーベキュー広場 (たき火や花火使用可能を想定)
大規模な花畑
ドッグラン
大規模な砂山

動物ふれあいゾーン

パドック
乗馬・馬車
牧場
休憩所
更衣室
厩舎
洗い場

アスレチックゾーン

大規模なアスレチック

自然観察ゾーン

市民の森
既存林・人工林・散策路

果樹・花木ゾーン

果樹園・花木園

アプローチゾーン

沿道の花畑

排熱余熱を利用した施設は、例えば川崎市には「ヨネッティ」という温水プールがあります。印西市にもありますね。
江東区のクリーンセンター近くには巨大な熱帯植物園があります。

この中で印西市っぽいなぁと思ったのはパドック (競馬?)。
でもそれだと当初移設候補地のひとつだった滝地区だったら、かつてキャンプ施設など市民開放していた小林牧場と一体でできた?
なんて、結果を見てから過去を掘り返す「たら・れば」はここで書いてはダメです。

これらのイメージをデザインされたものがこちら。

印西地域まるごとミュージアム構想参考:印西地区環境整備事業組合資料

ほとんどのものは周辺に揃っているので、ここからどんなオンリーワンを生み出せるか期待しています。
また個人的には、「市内の同業種の民間企業」との顧客奪い合いで共倒れしないよう、差別化されると良いなと思います。

どんな施設になってもどんな計画にしても賛否あると思います。

大量の資料を見て本当にたくさんの人がたくさんの知識と調査に基づいて、様々な細かいところまで作っているのだと実感しました。

集まった意見からどんな「印西らしさ」を抽出できるか、そして決まったことも印西市民が出し合った意見でできあがったものであることを認め合いながら、前に進んで行けることを願っています。

そのためにまずは存在を知ることから。
そんな思いで記事を書かせていただきました。

参考資料

もっと詳しく知りたいという方は、ぜひ公式の資料をご覧ください。

 印西地区環境整備事業組合公式サイト
 次期中間処理施設整備事業のページ 
 次期中間処理施設整備事業地域振興策基本計画

資料は膨大です。
また今後大きく変更が行われるものと思われます。